会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2019/11/14


 坂本工業では、来年1月に育児休業から復帰(以下、「育休復帰」という)する予定の従業員がおり、今後、育休復帰後の働き方についての面談をすることになっている。育休復帰する従業員は休業の前まで経理の業務を行ってきたが、育児休業を取得する際に後任者を選定し、すべての業務の引継ぎをした。そこで、育休復帰後の配置を検討するにあたり、どのように考えたらよいのか、社労士に相談することにした。

 こんにちは。今日は、育休復帰後の配置について相談させてください。来年1月に育休復帰する従業員がいます。その従業員は育児休業を取得する前に、経理の業務に就いていたのですが、育児休業を取得する際に、後任者にすべての業務の引継ぎをしました。いまでは、後任者が主となり業務がスムーズに回っていることから、育休復帰後に経理の業務に配置すべきか悩んでいます。

 なるほど。同様のお話を伺うことがあります。現在の担当者から業務を移さなければならないのか、悩ましいですね。

 はい。経理は2名体制で進めているのですが、すでに充足しているため、正直にお話すると、育休復帰する従業員を含めると人員に余剰感があります。また、育児休業を取得する前はフルタイム勤務でしたが、育休復帰後は短時間勤務をする予定で、短時間勤務では従前の業務量を担っていくことは難しいように考えています。勤務時間に見合って調整できればよいのですが、不効率になるようなこともありそうです。

 そうですね。うまく業務分担ができれば問題ありませんが、実際、うまく業務分担ができないこともありますね。

 そうなのです。ただ、私が気になっているのは、当社の育児・介護休業規程では「休業後の勤務は、原則として休業直前の部署および職務とする」と規定されています。このような場合、元の部署や職務がある以上、休業直前の原職で育休復帰させなければならないのでしょうか?

 この、いわゆる「原職復帰」についてですが、育児・介護休業法に基づき策定された指針(子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針)に根拠があります。指針を確認すると、原職または原職相当職に復帰させるように配慮することが示されています。

 当社の育児・介護休業規程の内容はこの指針に基づいていたのですね。

 原職相当職での復帰としている背景には、育休復帰にあたり、従業員本人にとって、以前従事している業務が慣れており、また一緒に働いていた部署であれば周りの従業員の気心も知れていること等が考えられます。

 確かに、従業員本人のことを思うと、育児休業を取得する前に行っていた原職での復帰が良さそうですね。

 一般的な考えとして原職復帰することが求められ、また実務上、そのようにしていることが多くあります。厚生労働省から公表されている「平成30年度雇用均等基本調査」を確認すると、育休復帰後の配置については以下のような割合となっています。

  • 原則として原職又は原職相当職に復帰する 事業所全体の67.6%(2015年度72.8%)
  • 本人の希望を考慮し、会社が決定する   事業所全体の24.0%(2015年度21.2%)
  • 会社の人事管理等の都合により決定する  事業所全体の3.1%(2015年度5.9%)

 原職復帰ではなく、「本人の希望を考慮し、会社が決定する」という対応は、約4社に1社の割合で見られるのですね。

 そうですね。今回も、職場の状況等によっては、原職以外での復帰の選択肢を検討してみてもよいかもしれません。

 なるほど。その際にはどのような点に注意が必要でしょうか?

 上記の調査結果にあるように、まずは本人の希望を聞くことが重要です。そして、希望を考慮した上で、どこに復帰してもらうのが良いのか、社内で調整し決定していくことになります。当然ですが、育児休業を取得したことで不利益な配置に変更した場合にはハラスメントとの指摘を受ける可能性もありますのでご注意ください。

 なるほど。今回の従業員について、本人の希望を聞いてみてから検討したいと思います。

 今後において、原職復帰とならないケースも考えられることから、育児休業に入る前に、職場の状況等によっては原職復帰とならないことも説明しておくとよいと思います。

 そうですね。あらかじめ話しておき、育児休業中であっても定期的に会社の状況を説明しておくと、従業員の理解が得られやすいかもしれませんね。


>>次回に続く



 今回は、育休復帰後の配置において配慮すべきことを解説しましたが、ここで指針にあった「原職相当職に復帰する」について補足しましょう。
 この「原職相当職」の範囲については、一般的に以下の1〜3のすべてに該当する場合には「原職相当職」と評価されます。

  1. 休業後の職制上の地位が休業前より下回っていないこと
  2. 休業前と休業後とで職務内容が異なっていないこと
  3. 休業前と休業後とで勤務する事業所が同一であること

 なお、1から3までのすべてに該当しなければ「原職相当職」には該当しないというものではなく、例えば、販売職に従事する従業員が、1と2の条件を満たした上で、通勤事情の変化に伴い経済的または精神的不利益を特段生じない別店舗(例えば自宅からより近い店舗)へ復帰する場合等、個々の企業の状況によってはいずれかが欠けている場合であっても、原職相当職と考えられる場合もあるとされています。
 休業に入る前に、育休復帰後の配置について説明をしておき、不要なトラブルに発展しないようにしておきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法・次世代育成支援対策推進法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/jigyou_ryouritsu/ryouritu.html
厚生労働省「平成30年度雇用均等調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-30r.html

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。


 
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